2012年11月25日日曜日

悲観主義は気分、楽観主義は意志

Le pessimisme est d'humeur; l'optimisme est de volonté.

「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである。」 (岩波文庫、アラン、幸福論、神谷幹夫訳、1998年)

アラン Alain (本名 Emile Auguste Chartier) (1868-1951) の「幸福論 」 Propos sur le bonheur (1925) の中の1節(プロポ93)です。

原文はフランス語です。

悲観的になるのに意志や努力はいらないが、意志の力で楽観的になることが幸福になる道だということですね。

アランはまた、

「しあわせだから笑っているではない。むしろぼくは、笑うからしあわせなのだ、と言いたい。」(プロポ77、前出)

とも言っています。


さて、現代の科学では、笑いは脳を活性化させ、免疫力を高めるといいます。
顔に笑いの表情を作るだけでもフィードバック効果があるそうですよ。

自分の意志で、どんどん笑ったほうがよさそうですね。
笑顔をつくることからおはじめなさい。

2012年11月18日日曜日

あすのことを思いわずらうな

新約聖書 マタイによる福音書 第6章34節です。

口語訳聖書では、

「だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。」 

とあります。

今日の事は、今日、完結させようという意味ですね。

文語訳聖書では、マタイ伝福音書 第6章34節、

「この故に明日のことを思い煩うな、明日は明日みづから思い煩はん。一日の苦労は一日にて足れり。」

となります。文語調の方が、名言としてのありがたみが少し増しませんか。


一応、英語の表現にもあたってみましょう。

ジェームズ王欽定訳(KJV)では、

Take therefore no thought for the morrow: for the morrow shall take thought for the things of itself. Sufficient unto the day is the evil thereof.


基礎英語聖書(BBE)では、

Then have no care for tomorrow: tomorrow will take care of itself. Take the trouble of the day as it comes.


世界英語聖書(WEB)では、

Therefore don't be anxious for tomorrow, for tomorrow will be anxious for itself. Each day's own evil is sufficient. 

となっていますが、それぞれ表現が異なり、どことなく印象も違いますね。

KJV版とWEB版では、明日も良いことが来ないような気がします。

BBE版は簡易でニュートラルな表現ですので、私はこの方が好きです。


マーガレット・ミッチェル Margaret Mitchell (1900-1949) の歴史的ベストセラー小説、「風と共に去りぬ Gone with the wind (1936)」、のヒロイン、スカーレット・オハラ Katie Scarlet O'Hara の最後のセリフも、

Tomorrow is another day.

です。

これが邦訳されると、「明日は明日の風が吹く」、となります。名訳ですね。

1939年のハリウッド映画、「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラ役のビビアン・リー Vivien Leigh (1913-1967) のイメージでこの言葉を思い浮かべると、明日への強い意志と希望が感じられるのは私だけでしょうか。

2012年11月11日日曜日

ウィリアム・オスラーの座右の銘


Our main business is not to see what lies dimly at a distance but to do what lies clearly at hand.

「われわれの大事な仕事は、遠くの方にかすかにあるものを見ようとすることではなく、手元に明らかに存在するものを行うことである。」

トーマス・カーライル Thomas Carlyle (1795-1881) によるこの言葉は、内科学の大御所であるウィリアム・オスラー Sir William Osler (1848-1919) が、若き日の座右の銘にしたといいます(William Osler, A Way of Life, 1913)。

将来が不安で、先が見えなくて、今、何をしたら良いのかわからない。

私は、こんなところでくすぶっているような人間ではないと、仕事が手につかない。

仕事のモチベーションが湧き上がってこない理由はいくらでもあります。

先のことはだれもわかりません。しかし、何もしなければ、何も起こりません。
今できることを、今、目の前にある仕事を、粛々とやりとげることが大事なのです。

今いる場所が自分が望んでいるところではなくても、ここでがんばって花を咲かせることができなければ、どこへ行っても花が咲くことはありません。

その時が来たら花を咲かせようという考えでは、いつまでたっても花は咲きませんよ。